MOJIの映画レビュー映画の感想ブログです。この記事は、の続きです。何度も繰り返し描写された、琉花の家の最後には、缶ビールのゴミ袋がなくなって、代わりに学校に向かう琉花。靴紐を結び、 デデも、少女の頃に「海から来た美しい少年」に出会っていました。琉花は、海と空を失った喪失感に囚われています。「私、何も知らなくって。ただもう一度、会いたくって」デデは琉花の、琉花の手のひらにあったのは、海がほどけた「私なんかじゃ…」という琉花に、「あんたでいいんだよ」とデデは言います。「信じておやり。海と空を。そして自分自身を」 海と空は消えてしまった。というか、より現実的に言うならそして、二人の死を目撃し、二人を自分の中に取り込んで、記憶として引き継いでいく。その役割は、琉花が担うことになります。自分がそれに対して、デデは優しく「信じておやり。あんたを選んだ海と空を。そして選ばれた自分自身を」と伝えています。 ここで語られているのは、とてもそうすることで、 デデのもとを離れ、走っていく琉花。夏休みの始まりの日に駆け下りた坂道を、駆け上がっていきます。琉花は微笑んで、ボールを投げます。 これ、映画オリジナルの要素です。全体を「琉花の夏休みの物語」として、 自分から手を出したくせに、しれっともっといい友達と付き合えよ琉花!…と思わないでもないんですが、まあそれはわだかまりなく、笑いかけた琉花はえらい。 坂道の向こう、チームメイトの向こうにそして、琉花の背後にはいなくなった人は、いつもそこにあった。琉花はそれを知ることができました。それこそが、何よりも確かな「成長」ですね。エンドクレジット。 「椅子」については、原作の前の方で、海によって語られています。ジムから聞いた話として、海が琉花に語ります。「「どこかの島では、先祖の霊が帰ってくる日には海岸に椅子を置いておく」「 砂浜に置かれた椅子はずっとからっぽですが、最後にはそこにこれは、そういった意味に関しては映画では語られていないんだけど、その代わりに米津玄師の歌が語ってくれています。 これまで書いてきたように、本当にいくつもの意味がこもっている、何重にも別の解釈が可能な物語なので、加奈子の出産。ということは、加奈子に促され、琉花はへその緒を切ります。 なんで、琉花はこんな表現をしたんでしょうか。「命を断つ」って、普通は「殺す」「命を奪う」「自殺する」というような意味。 そこから考えていくと、ぐーっと、過去に遡って…。 孤独な夏休みに、琉花が出会った少年たち、海と空。二人は、その独特な生まれから、一卵性双生児のように固く結びつき合っていました。互いに、相手だけがいればそれでいい、という二人きりの世界に生きていました。海が興味を持ったことから、そんな「海はきみを必要とするのかな?」とか「海には俺がいる」とか、空は言っています。でも、二人もじゃれる…というか、いちゃつく海と空。それをじっと見る琉花には、そんな二人だからこそ間に割り込んでいきたいという欲望が潜んでいるように思えます。 海辺のキャンプの夜、琉花はだしぬけに空にキスをされて、口移しに隕石を飲まされます。繰り返し言ってたように、この夜、琉花と空は結ばれて、そして空は琉花の前から消えます。 体内で隕石が目覚め、誕生祭へと向かっていく。これは、琉花は空の子を妊娠したわけですが、しかし隕石は海によって取り出され、海とともに消えることになります。これは…ここまでの流れを踏まえて考えるなら、命になるはずだったものは、星になって空へと昇っていった。これが、この夏にあったことの全部。へその緒を切った時に琉花が思い出したのは、 まあ、なんとなく成り立っちゃうのですが、壮大なSF的イメージに比して、ちょっと原作には、赤ん坊の説明として、「お腹の中では羊水の中で息をしていて、出てきたとたん肺呼吸になる」と加奈子が話すシーンがあります。「 光になって消える魚を見て、「胎内記憶のある子供」はお母さんの胎内から生まれ出るところを思い出しました。(これも原作での描写ですが)人も動物も、爬虫類も鳥も、脊椎動物の胎児を比べてみると、受精後30日くらいまではしっぽがあり、えらのような裂け目があって、 琉花は、「海は彼岸。海はすべての生物が生まれるところ。クジラや魚や、海と空は光に分解して消えて、その命が新しい生命に引き継がれる。女の体は通り道で、彼岸からこちら岸に生命を引き出す。「ルワ・ビネダ」によればすべては対になっているから、誕生は死とともにあります。今、加奈子の子供が産まれたということは、だから、 消えてしまった海と空も、消えたのではなくどこかに生まれ出たのかもしれない。 琉花は加奈子に、子守唄は、「誕生祭」について歌っています。「海に生まれた魚の子」が人になって、天の星が海に落ちる。本来は人知の及ばないはずの、海で行われる生命(と星)の誕生の儀式。それが、こんな片隅で子守唄として、歌い継がれ伝承されている。「いつでも体のいちばん奥で、つながっている」「いちばん大切な約束は、言葉では交わさない」 ザトウクジラは歌によって、言葉に頼らないコミュニケーションを行なっています。それは、人間が言葉を尽くしても伝えきれない「生の体験」を、そのままの形で伝えあっているのかもしれない。生命がどうやって誕生するのか…とか。宇宙はどうやって生まれるのか…とか。我々はどこから来てどこへ行くのか…とか。そういったいちばん大切なことは、どれもただ、要するにそれこそが、この映画だったんですよね。言葉によらない、生の体験。 原作では、エピローグは未来のシーンで、歳をとった琉花が「あの夏」を思い出して少年に語っています。「”るか”にとって、あの夏は約束だった」「確かに約束した。「すべての時間と交わした」「「あの夏は、あの時間は、少しは彼らの栄養になったのかなあ…」 あの夏に星を食べて、「栄養」にしたのは海洋生物が死ぬことで光になり、その光が女の体を通ってこちら岸にやって来ることで、人が生まれる…のだとしたら、海洋生物たちが栄養を得たことは、琉花が約束をしたと言ってるのは「彼ら」なので、すべての海洋生物たち。その総体としての「海」ということになりますね。人は海から、生命を受け取る。そして、そういう、人と海との約束。琉花は海と、やがて海から生命を受け取って、「乳房」としてしっかりと育てることを約束した。 …というのが、原作においての「約束」だと思うんですけど、でも映画では、そこまで複雑に考えなくてもいいかもです。ストレートに、琉花と、いつか、海辺に置いた椅子に海と空とが帰ってきて、きっとまた会える。そういうロマンチックな約束。 海は彼岸で、もしかしたら、 また長くなっちゃいましたが、「海獣の子供」考察記事はこれで終わりです。また、何か発見があったら追記するかもしれません。長々とお読み頂き、ありがとうございました! 他の映画の記事もよろしく! クジラ類(クジラ・イルカ) 2. 製作 - 「海獣の子供」製作委員会 ... 元々二大強国の紛争の話だったのを トルメキアの侵略の話に作り替えたナウシカの映画みたいなもんだ . 水族館学では、 1. 自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、夏休み初日に部活でチームメイトと問題を起こしてしまう。母親と距離を置いていた彼女は、長い夏の間、学校でも家でも自らの居場所を失うことに。そんな琉花が、父が働いている水族館へと足を運び、両親との思い出の詰まった大水槽に佇んでいた時、目の前で魚たちと一緒に泳ぐ不思議な少年“海”とその兄“空”と出会う…。 海獣の子供の次にポニョの話とかタイムリーだなー。色々似てる。 まずは、元ネタにアンデルセンの人魚姫があること。 ポニョのタイトル候補に金魚姫、というのがあったのは割と有名な話だ。 人魚姫は王子に恋をして、人の足を得て、陸へ上がってくる。 製作 - 「海獣の子供」製作委員会 ... 元々二大強国の紛争の話だったのを トルメキアの侵略の話に作り替えたナウシカの映画みたいなもんだ . 海獣の子供で一番ミ… 2019-06-26 崖の上のポニョを解釈する1 人魚姫、次元の上昇。 海獣の子供の次にポニョの話とかタイムリーだなー。色々似てる… 2019-06-07 映画・海獣の子供、感想. The novel "私はそれでも見上げた空、見下ろす海に" includes tags such as "二次創作", "海獣の子供" and more. 映画『海獣の子供』展【第二弾】 Check-in 0 開催日 2019年5月7日(火) ~ 2019年5月31日(金) 場所 ららぽーと富士見 1F @cosme store前(埼玉県) 内容 映画『海獣の子供』と三井ショッピングパーク ららぽーと富士見の大型コラボが決定! 海牛(ジュゴン・マナティー) 3. 【封入特典】五十嵐大介初の長編作品を『鉄コン筋クリート』のSTUDIO4℃が劇場アニメ化した海洋ファンタジー。自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生・琉花。学校でも家でも自分の居場所を失くした彼女は、水族館で魚たちと泳ぐ不思議な少年たちに出会う。 二回観に行った! もはや全編が瞑想導入映像。 映画「海獣の子供 」ネタバレあらすじとラストまでの結末・動画やみんなの感想を掲載。起承転結でわかりやすく徹底解説しています。海獣の子供 のストーリーの結末・感想や感想を含んでいるので、観ていない方はご注意ください。この映画のカテゴリーは アニメ映画 です。 知的好奇心の旅へいざなうWebマガジン海獣の子供の紹介:2019年6月7日公開の日本アニメーション映画。日本漫画家協会賞優秀賞に輝いた五十嵐大介の同名コミックを『鉄コン筋クリート』のアニメスタジオ、STUDIO4℃が映画化した海洋冒険ストーリー。14歳の少女とジュゴンに育てられた2人の兄弟とのひと夏の出会いを、圧倒的な画力とミステリアスなストーリー展開で描く。人気ミュージシャンの米津玄師がメインテーマを手がける。安海琉花(芦田愛菜)、海(石橋陽彩)、空(浦上晟周)、アングラード(森崎ウィン)、安海正明(稲垣吾郎)、安海加奈子(蒼井優)、教師(渡辺徹)、ジム・キューザック(田中泯)、デデ(富司純子)海獣の子供【通常版】Blu-rayBlu-ray > アニメ①夏休み、14歳の琉花はジュゴンに育てられた双子の少年、「海」と「空」に出会う。