少子高齢化による人口動態の変化、低金利の長期化など、国内市場環境は厳しさを増している。このような市場背景のもと、海外市場への参入または事業の拡大が日系企業の大きなビジネスチャンスとなっている。一方、現在成長率が高い新興国にとってはインフラの発展と、そのための資金調達が重要な課題となっている。日系企業が持つ高い技術力・ノウハウは新興国のインフラ発展の力になり、ひいては日本経済の発展につながるのである。近年、電子・電機・自動車・航空機等の製造業、流通・サービス産業等、多くの分野でビジネスアライアンスが進展し、日系企業が東南アジア市場へ参入・事業拡大する事例が多く見られるようになった。その結果、一部の国では他の外資系企業、現地企業、場合によっては日系企業同士の競争が激しくなりつつある。そこで本稿では、東南アジアから少し足を伸ばし、多くの日系企業が新たな市場としてまだ開拓していない国であり、筆者の出身国でもあるバングラデシュ市場の現状・魅力を説明したい。バングラデシュは、南アジアにある。北と東西の三方はインド、南東部はミャンマーと国境を接する。南アジアと東南アジア・中国の架け橋となる位置にあり、地理的な重要性を持っている国である。バングラデシュは1971年にパキスタンから独立した。総人口は約1億6千万人で日本の約1.3倍、国土面積は14.4万平方キロメートルで日本の約4割という、世界で最も人口密度の高い(約1,252人/km²)国である。首都ダッカには総人口の1割が集中し、世界で最も人口密度が高い都市となっている。宗教的にはマレーシアと同じくイスラム教徒(89.5%)が多い。過去10年間のGDP成長率は他の新興国と比べ安定的に6%程度を維持しており、1人あたりのGDPが2018年時点で1,670ドル(2009年:703ドル)となったバングラデシュの平均年齢は25歳と、若者の多い国である。今後40年にわたり豊富な労働力が確保される人口ボーナス期となるバングラデシュに対する海外直接投資(FDA)は他の新興国と比較して僅少である。英国・韓国・シンガポールなどによる製造業・インフラ関連への投資が大きいものの、日本からの投資はまだまだ少ないのが現状である。バングラデシュ政府にとっては海外からの投資促進が課題となっている主要開発パートナーとして、世界銀行(WB)、アジア開発銀行(ADB)、独立行政法人国際協力機構(JICA)の国際協力機関があるが、直近3年における開発援助プロジェクトの大半は成長が期待できる電力、交通、鉄道や情報システム関連のプロジェクトとなっているその他、以下の分野で今後成長が期待できる日系企業にとってまだ馴染みの薄いバングラデシュに関する情報・リソースは不十分である。そのため東南アジア等と比較して注目されていなかったが、過去8年で同国進出日本企業数は約3倍増(82(2009年)→260社(2017年))となったバングラデシュでのビジネス課題として、電力・エネルギー不足、交通等インフラの未整備、高関税、政治上の問題などがしばしば挙げられている。一方、新興国市場は日本以外の外国との競争でもある。一大消費市場、中でも所得水準が向上する中間層の購買力、中期的に期待できるアジア最低賃金の豊富な労働力等により今後成長する新興市場として外資企業に注目されている。特に労働力については政府による大規模な若手スキルアッププログラムが実施されており、このプログラムを受けた大学卒業生が年間40万人以上供給されているバングラデシュへのビジネス展開・進出を考えたとき、インフラの未整備など、様々なリスクが存在している。しかし一方で、一大消費市場に成長することは他国の事例を見ても明らかである。すでに欧米、韓国、中国、インド等の企業が様々の分野でビジネス進めている。日系企業も同国の市場ニーズを把握しながら、速やかにビジネスを検討し、他国企業に市場を取られる前にアプローチすべきと考える。【バングラデシュリサーチプログラム】
バングラデシュでのビジネス課題として、電力・エネルギー不足、交通等インフラの未整備、高関税、政治上の問題などがしばしば挙げられている。一方、新興国市場は日本以外の外国との競争でもある。 当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。 本からバングラデシュに新たな投資を呼び込むた めに関税引き下げ等の措置が必要であると述べた。 これを受けてバングラデシュ側から、消費財など特 定分野における輸入関税について、見直しの余地が ないか検討する旨の発言があった。 ②自動車産業 Mydul) 金融業界にてバングラデシュを中心に、東南アジアでの合弁会社の設立に向け、事業シミュレーション、財務等の各種戦略、海外投資案件の発掘、リスク分析に携わる。バングラデシュでの火力発電所(当時最大規模)に対するプロジェクトファイナンスに従事。 株式会社富士通総研 クロスインダストリーグループ (海外リサーチ、エネルギービジネス 担当)イスラム モハメド マイドル(Islam Md. 「中古車」とは言え、バングラデシュの 中古車輸入関税は安くても150%に近く、高いものでは500% ほどかかります。 まだまだ中間層には手の届かない買い物。 Japan近年、多様な分野でビジネスアライアンスが進み、日系企業が東南アジア市場へ参入・事業拡大する例が増えた。日系企業が未開拓のバングラデシュ市場について、その現状・魅力を探る。 バングラデシュの関税について ... 自動車に跳ねられて重傷を負ったリキシャのドライバーが、治療費を払えない事から救急車を呼ぶことを拒否したという逸話も有るくらいで消費者側はまだまだ貧困層が多 … 物価が安いと思われがちなバングラデシュですが、全ての物価が等しく安い訳ではありません。バングラデシュ国内で生産されている物に関しては確かに驚くほど安く購入できる事も有りますが、海外からの輸入製品、特に自動車や電化製品などは日本で購入するよりもむしろ割高な場合すらあります。バングラデシュでは医療産業が発展しており、街中でも薬局が多く建ち並んでいる事は以前にも述べましたが、実際に病気や怪我の治療に必要な医薬品はともかく、スキンケア製品等は贅沢品の部類に入ります。自動車に跳ねられて重傷を負ったリキシャのドライバーが、治療費を払えない事から救急車を呼ぶことを拒否したという逸話も有るくらいで消費者側はまだまだ貧困層が多いです。近年では日系医薬品企業もバングラデシュに進出し、スキンケア製品の販売も行っていますが、関税率が90%~130%台と非常に高額な為、どうしても高価格商品になってしまいます。必然的に、ターゲット層も近年増加している富裕層や中間層に絞られています。経済発展が続くバングラデシュですが、これらの商品が庶民の手に広くいきわたるのはまだまだ先になりそうです。以上2019-10-232019-10-23Copyright © ベトナム側の関税の特徴は「中古品」に対する規制が厳しい点です。 例えば、自動車であれば、製造されてから 年以内であればok。それ以降は、認めない。ただし、ごみ収集車など、特殊車両は、この制限はない。など、非常に細かい規制があります。