弓道の基本動作をうまく行うためのコツは呼吸法です。基本的にゆっくりした動作を行う弓道では、呼吸に合わせた動きをすることがとても大切になります。射法八節中で特にこの呼吸法が大切になるのが、会のときです。会のときの呼吸によっては、離れや的中が変わるのでぜひ身につけておきたい呼吸法です。今回は会での呼吸法が大切な理由と、呼吸のやり方について解説します。冒頭で弓道の動作は基本的にゆっくりで、呼吸に合わせて動くのが大切だと述べました。この呼吸法が身に付いているかいないかで上達率も変わるわけですが、ではなぜ射法八節中特に会での呼吸が大切なのか。それは会が、”静かに伸長し続ける動作”だからです。もう少し言い方を変えれば、会では離れに備えて左右に伸びる力をずっと加え続けているためです。よく運動を行う前にストレッチを行いますが、ストレッチの時に息を止めてしまっては筋肉や筋がほぐれません。息を吸って、吐く動作で体の筋を伸ばし筋肉をほぐすことができるのです。これは会にも当てはまることで、呼吸に合わせることで伸長し続けることができるのです。これを実際に体感するには、素引きで引分けたあと呼吸を一時止めてみてください。そしてその呼吸を止めた状態で、左右に伸びてみてください。思うように力が抜けず、左右に伸びれないことに気づくでしょう。会での呼吸法を身に付ける練習方法を解説します。会での呼吸というと、会のみのことのように思えてしまいますが、実は呼吸法というのは射法八節のすべての動作につながるものですので、ピンポイントでの会得は難しいのです。なのでまずは1つ目のポイントとして、射形全体を通しての呼吸法を身につけます。吸うときに動作を行い、吐くときに一旦力を抜きます。これは各動作のごとに使う呼吸法ですので、しっかり身につけましょう。足踏みの場合には、左足を踏み出すときに息を吸い、吐くときに右足を踏み固める、といった具合です。次に全体を通しての呼吸法が身に付いたら、2つ目のポイントとして、引分けから会にかけての呼吸を身につけます。引分けに入るときに勢いよく息を吸うやり方ではなく、引分けに入るときにはいつも通りに息を吸うようにします。一呼吸で引き分けたのち、一度息を吐き出します。そして息を吸いながら会に入ります。会では息を吸う、吐く、吸う、吐くを繰り返しながら伸長をしていきます。この時に何回呼吸をすればいいといった回数指定はありませんが、人間の身体はすぐに伸長できません。ですので、目安として最低吸う、吐くのセットを2~3回はすると思いましょう。これは人によって呼吸の長さやスパンが変わるため、一概には言えません。あくまで目安だということに気を付けてください。最後に3つ目のポイントとしては、呼吸をしっかり行うことです。人間の体は緊張状態などになると、すぐに動けるように呼吸を浅く短いスパンで行うようになります。しかし、この浅く短いスパンの呼吸が弓道ではあだとなります。なるべく深く長いスパンの呼吸にすることで、伸長もぐっと楽になります。以上呼吸法が大切な理由と、呼吸のやり方について解説しました。動作に慣れるほどおろそかになる呼吸法ですが、今一度見直してより弓道を上達させていきましょう。
呼吸法の中の”息合い”とはいつの動作のものか. 1. 冒頭で弓道の動作は全て呼吸と合わせて行うと述べました。 呼吸と動作を合わせることで、一定のリズムを刻めるほか、体の力を入れたり抜いたりするのも容易になるためです。 弓道初心者が上手くなりたいと思った場合は体配より射刑に注力しがちです。理由は簡単。射刑は弓道の花形のように見える、弓を引く動作があるため。弓道を始めたばかりの人はやはり早く弓を引きたい、と思って学ぶので熱量が違います。ですが体配も弓道を行う 人間の体は緊張状態などになると、すぐに動けるように呼吸を浅く短いスパンで行うようになります。 しかし、この浅く短いスパンの呼吸が弓道ではあだとなります。 なるべく深く長いスパンの呼吸にすることで、伸長もぐっと楽になります。 人は集中したり、緊張したりすると呼吸がとても浅く、吸って吐いてのスパンが短くなります。または、短時間息が止まっている場合もあります。弓道の動作は全て呼吸と合わせて行います。それだけ弓道での息づかいは重要ですが、特に呼吸を気を付けたい動作があります。今回は特に気を付けたい呼吸法として、息合いの正しいやり方とコツを3つのパーツにわけて解説します。冒頭で弓道の動作は全て呼吸と合わせて行うと述べました。呼吸と動作を合わせることで、一定のリズムを刻めるほか、体の力を入れたり抜いたりするのも容易になるためです。ではあえて”息合い”と書いた呼吸法は一体いつの動作のものをいうのか。実は会から離れにかけての呼吸法を”息合い”と呼びます。会から離れにかけては見た目の変化はほぼなく、中には完全に呼吸を止めてしまっている人もいます。しかし完全に呼吸を止めてしまったり、必要な呼吸が行われていなければ弓道にとっては悪影響です。会から離れの呼吸法が”息合い”といい、これが正しく行われないと弓道にとっては悪影響、もっと言えば上達から遠のいてしまいます。なぜそこまで気を付けたい呼吸法なのか。それは、会が左右に伸び続ける動作であるためです。見た目上ほぼ動いていない会ですが、しっかり左右に伸長することで次に続く離れをスムーズにする大切な役割があります。もしも会で呼吸が浅すぎたり止まっていたりすると、伸びる際に伸びきれない、または逆に縮んでしまうといったことが起きます。人前で演説をしたり、発表をする場面を思い浮かべてください。緊張から汗が出たり、息苦しくなったりしませんか。それと同時に、体に力が入りかたくなってしまうのではないでしょうか。会で呼吸が止まってしまうと、これと同じことが起きます。つまり、力が必要以上に入りすぎてガチガチに固まっている状態になるのです。柔よく剛を制すではありませんが、固まっている状態での左右の伸びはできないため続く離れにも悪影響を与えることになってしまいます。だからこそ会から離れにかけての呼吸を”息合い”と呼び、特に気を付けたい呼吸法としているのです。正しい息合いは、ゆっくり深く行うものになります。最後に、正しい息合いのやり方とコツを解説します。息を吸いながら引分けたのち、会に入るとき息を吐き出します。この後から呼吸が止まったりするので、あえてゆっくり息を吸うようにします。ゆっくり吸った息は、またゆっくり吐きだします。ゆっくり吸う際のコツは、お腹をふくらませるように吸うことです。ゆっくり吐き出す際のコツは、お腹をへこませるように吐き出すことです。言い換えれば、腹式呼吸を心がけます。吸う際に左右に伸び続ける、吐き出す際には伸びる時に入ってしまった力を抜く。吸う+伸びる、吐く+力を抜く。この2つの組み合わせこそが正しい息合いです。まずはゆっくり深く呼吸することを身につけます。これではまだ”腹式呼吸”の段階なので、さらに息合いに発展させます。息合いとは体の左右の伸びをサポートするためにあるので、吐き出す際に体が左右に伸びる感覚をつかみます。人それぞれに感覚は異なりますので、繰り返し確認して感覚をつかみます。無理に矢を番えた状態でなくても、ゴム弓や素引きを利用しても可能なので臨機応変に確認していきます。正しい息合いのコツはなんといっても、吸う時に伸びる、吐く時に力が抜けるということをわかっていることです。スポーツ前に取り組むストレッチの感覚をイメージしながらやると、より伸びる感覚・力が抜ける感覚がつかみやすくなります。以上3つのパートにわけて、正しい息合いのやり方とコツについて解説しました。なにも意識しなくてもできる呼吸だけに、雑になってしまいがちですが、今一度呼吸法、息合いを見直してみましょう。そうすることで、今以上に弓道が上達していきます。